はじめに ― なぜSaaS費用削減に着手したのか

私がSaaS費用削減プロジェクトに本格的に取り組むことになった背景には、組織内で複数のSaaSサービスが乱立し、それぞれが独立して契約・運用されている状況がありました。特に名刺管理SaaSやナレッジ管理サービスなどが、各プロジェクトごとに個別に導入されており、全体のITコストが無駄に膨れ上がっていました。加えて、各サービスの利用実態の可視化や運用目的の明確化がなされておらず、現場担当者ですら「なぜこのサービスが必要なのか」「誰がどのように使っているのか」が分からない状態に陥っていました。経費削減の必要性が高まる中で、現場の使い勝手や業務効率を損なうことなく、抜本的なコスト最適化を実現することが急務となったのです。

何から始めたのか ― 現状把握と課題の洗い出し

最初に着手したのは、「現状把握」と「課題の可視化」です。具体的には、組織全体で利用しているSaaSの一覧を作成し、各サービスの契約内容、利用部門、年間コスト、更新時期をリスト化しました。その上で、実際の利用状況や現場のニーズを把握するため、各サービスのエンドユーザーや管理者に対するヒアリングを徹底的に実施。ヒアリングでは「何のために」「どのように」そのSaaSが使われているか、また「理想的な運用はどうあるべきか」を確認し、利用実態と理想像のギャップを明確にしました。

問題解決のために採った手法・アプローチ

1. 代替案の策定とPoC(概念実証)

ヒアリングを通じて「本当に必要な機能」と「現行SaaSの課題」を抽出し、Google Apps ScriptやAppSheet、Notionなどのノーコード・ローコードツールを活用して、既存SaaSの代替となるプロトタイプ(Mockup)を短期間で作成しました。たとえば、名刺管理についてはGoogle Apps Scriptで独自の管理システムを設計・開発し、OCRやAI解析(Gemini API連携)を組み込むことで、現行SaaSと同等以上の機能を実現しました。

2. アジャイル型開発とユーザー巻き込み

PoC段階で作成したMockupを実際のユーザーに試用してもらい、毎週フィードバックを受けながらアジャイル的に機能を追加・改善。進捗や課題、実装状況を定期的なミーティングで透明性高く共有し、現場の納得感を醸成しながら移行計画を進めました。要件定義から運用設計まで一貫して自ら主導し、関係者の合意形成を得ることで、スムーズな移行を実現しました。

3. ナレッジ統合と運用マニュアルの整備

点在していたナレッジやマニュアル情報もNotionに一本化し、誰でもアクセス・更新できる仕組みを整備。これにより、属人化の排除・情報の透明化・運用効率の向上を同時に達成しました。

4. コストインパクトを最大化する優先順位付け

コストインパクトの大きいサービス(例:Sansan、CloudSign等)から順次着手し、代替案が容易なもの、反発が少ないもの、契約更新が近いものを優先して移行。最終的には、旧SaaSの全解約までスケジュールを前倒しで推進しました。

成果 ― SaaS費用削減の実績と組織へのインパクト

この一連の取り組みにより、2025年3月末までに旧SaaSの解約を完了。具体的な成果としては、年額300万円のSaaS費用削減を達成しました。名刺管理サービスやナレッジ管理を内製化・統合することで、運用コストを大幅に圧縮しただけでなく、現場の業務効率や情報共有の質も向上。ITコスト削減とDX(デジタルトランスフォーメーション)推進を両立する「守りのDX」を体現しました。

この経験から証明できる自分の能力

  1. 全体最適・課題解決型のプロジェクト推進力

    現状把握から課題抽出、PoC開発、ユーザー巻き込み、運用設計、マニュアル整備、移行実行まで、一貫してリーダーシップを発揮。現場に寄り添いながらも全体最適を意識した「守りのDX」を実践できます。

  2. ヒアリング力・要件定義力

    ステークホルダーから本音を引き出し、真の課題を可視化。現場のニーズに即した要件定義と合意形成を実現しました。

  3. ノーコード/ローコードによる業務効率化・内製開発力

    Google Apps ScriptやAppSheet、Notionを駆使し、誰もが使いやすい業務ツールを短期間で開発・運用。保守性・拡張性・ユーザビリティを高める設計が可能です。

  4. アジャイル型のプロジェクト推進と現場巻き込み力

    ユーザーの声を反映しながら柔軟にプロジェクトを進行。現場の納得感を重視した合意形成・運用定着を実現しました。